“対象外”にも持続的効果 閉塞性動脈硬化症の新治療法とは

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■血液から悪玉コレステロールを除去

 こういった患者に対し、人工透析と同じような血液浄化療法「血漿吸着療法」が効果を上げている。体外に排出した血液を血漿分離器で血球成分と血漿成分に分離し、血漿のみを吸着器で吸着する。このうち、動脈硬化の一番の原因となるLDLコレステロール(以下LDL)を吸着除去したうえで、血液を体内に戻す治療法だ。

 ただ、保険適用になるのは、薬を使っても総コレステロール値が220(mg/dl)、またはLDL値が140以下にならない高コレステロール血症の人のみになる。しかし、ASOのリスクファクターはコレステロール値(脂質異常症)以外もあり、LDL値が正常の人も少なくない。

 田村医師は重症の閉塞性動脈硬化症患者の治療を担当する中で、血漿吸着療法には2つの作用があることを証明した。「動脈硬化への増悪作用が強い酸化型LDL(LDLが血管内壁で変化したもの)を長期的に減少」と「炎症系や凝固系の成分の改善」だ。これらの作用によって、障害が大きい血管内皮細胞を活性化させることを突き止めた。

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