染色体、性器、心…“赤ちゃんの性”一致するとは限らない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「染色体と外性器の不一致については血液検査で分かりますが、調べようと思わなければ分かりません。また、生まれた当初は染色体と外性器が一致していても、性腺刺激ホルモンや性ホルモンなどの産生低下により、思春期に異常が見つかることもある。生理が来ないので調べてみたら子宮、卵巣などの女性生殖器すべてが欠損していた、乳房の膨らみはあるものの、子宮がなかった例も報告されています」

 中には、女の子だと思い込んでいたのに思春期を境に声も体形も男性化して、クリトリスが小さなペニスほどに育ち、本人が強い戸惑いと驚きを受ける例もある。

 手術などで治療できる場合もあるが、性同一性障害を引き起こす原因につながるケースもある。

「その精神的苦しみはいくばくか。結婚して不妊相談治療の過程で自身がDSDであることに気付くこともあるのです」

 人は「染色体」「外性器」「心」の“性”が一致するとは限らない。何をもって「男の子」「女の子」というのか。性に関係なく一人の個性ある人間として愛情を持って育てる。その覚悟がなければ親になる資格はない。

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