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米国で初認可 がん治療に新時代を開く遺伝子療法の中身

 アメリカのFDA(食品医薬品局)が初の遺伝子治療を認可し、大きな話題になっています。

 キムリア(Kymriah)はスイスの大手製薬会社「ノバルティス」が開発したもので、化学療法やX線療法が効かない重度の小児白血病に対し、特効薬になる可能性があると注目されています。

 治療法は、まず患者の免疫細胞を取り出し、特定のがん細胞を認識する遺伝子を導入後、再び体内に戻す。患者の免疫力を高め、がん細胞への攻撃力を高めるというものです。

 今後1カ月以内に、アメリカの約20の病院でキムリアによる治療が始まるとされており、若い白血病患者やその家族に、大きな希望をもたらしています。

 一方、問題になっているのはその治療費の高さです。キムリアによる1回の治療費は実に47万5000ドル(約5200万円)。1カ月の化学療法の治療費3万ドル(約330万円)の10倍以上に当たる値段に驚きと批判の声が上がっています。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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