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米国で初認可 がん治療に新時代を開く遺伝子療法の中身

 ノバルティスは金額設定の理由として、同じように最も効果の高いがん治療とされる脊髄移植の価格88万ドルよりも低く設定したとコメント。しかし強くなった自己免疫が内臓を攻撃するなどの強い副作用が想定され、さらなる治療が必要となる可能性を考えると、患者の負担が重過ぎると指摘する関係者は少なくありません。

 また、この治療法の開発には200億ドル以上の連邦からの助成金が使われていることを挙げ、もっと多くの人が利用出来る価格設定をすべきだという声もあります。これに対しノバルティスでは、低所得者で公的医療保険に加入している患者に対しては、最初の1カ月以内に効果が挙がらない場合、治療費は請求しないとしています。

 今後も遺伝子療法のような革命的な治療法が臨床化される希望とともに、ますます高額になる治療費をどう考えていくかが大きな課題になっています。

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シェリー めぐみ

シェリー めぐみ

NYハーレムから、激動のアメリカをレポートするジャーナリスト。 ダイバーシティと人種問題、次世代を切りひらくZ世代、変貌するアメリカ政治が得意分野。 早稲稲田大学政経学部卒業後1991年NYに移住、FMラジオディレクターとしてニュース/エンタメ番組を手がけるかたわら、ロッキンオンなどの音楽誌に寄稿。メアリー・J・ブライジ、マライア・キャリー、ハービー・ハンコックなど大物ミュージシャンをはじめ、インタビューした相手は2000人を超える。現在フリージャーナリストとして、ラジオ、新聞、ウェブ媒体にて、政治、社会、エンタメなどジャンルを自由自在に横断し、一歩踏みこんだ情報を届けている。 2019年、ミレニアルとZ世代が本音で未来を語る座談会プロジェクト「NYフューチャーラボ」を立ち上げ、最先端を走り続けている。 ホームページURL: https://megumedia.com

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