9月に承認 乳がん新薬「イブランス」のポイントを知る

副作用が少なく働きながらの治療も可能(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 9月に新しい乳がん治療薬「パルボシクリブ(商品名イブランス)」が承認された。ポイントを愛知県がんセンター中央病院副院長兼乳腺科部長の岩田広治医師に聞いた。

 乳がんにはいくつかのタイプがあり、そのひとつが全体の7割を占める「ホルモン受容体陽性・HER2陰性」だ。今回の薬はこのタイプのうち「手術不能または再発乳がん」への有効性が認められている分子標的薬だ。

「ホルモン受容体陽性・HER2陰性」はこれまでホルモン療法が主な治療法で、抗がん剤は効きにくいと考えられてきたが、2012年、ホルモン療法との併用で効果を発揮する分子標的薬が登場。今回の薬は、違うメカニズムを持つ。

【進行・再発がんへのファーストラインで、がんが進行せず安定した状態が約2年継続】

「国際的な試験(PALOMA―2)で進行・再発乳がんのホルモン療法に新しい分子標的薬を併用したところ、人種、ホルモン療法歴あり・なし、化学療法歴あり・なしなど複数の切り口で見ても、全てで分子標的薬併用群がホルモン単剤群より無増悪生存期間が勝っていました」

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