3人の担当医師と、5人の看護師が付き、手術時間は丸1日、15時間にも及ぶ。大久保さんの体に、10本の管が通された。そのうちの4本は、ポンプで背中から挿入される麻酔である。
「もう、仮死状態だったでしょうか」と言う大久保さんも頑張ったが、15時間の手術中、医師や看護師はだれ一人、食事はもとより、トイレにも行かなかった。その甲斐もあって、47個のリンパ節が除去された。病理検査で、体からすべてのがんが消滅したことを知らされる。
術後4週間の入院を経て、8月末に車椅子で退院し、2人の子供が待ちわびる自宅に帰った。
大久保さんは、これですべてが終わったと喜んだ。ところが2カ月後、もうひとつの大掛かりな手術を受けることになる。
末期がんからの生還者たち