皮膚を科学する

子供に「痛いの痛いの飛んでいけ」は効果があるのか?

「痛いの痛いの飛んでいけ~」(C)PXTA

「皮膚で受ける触覚や圧覚の情報は、太いAデルタ線維を伝わって脳に届きます。一方、痛みを伝えるのは細いC線維です。触覚を伝えるAデルタ線維の情報は、痛みを伝えるC線維より速く脳に届きます。そのため皮膚を触ってAデルタ線維を刺激すると、痛みを伝えるゲートを閉じる働きをして、痛みを脳に伝えにくくするのです」

 子供に「痛いの痛いの飛んでいけ」と言いながらさすってあげることにも意味がある。実際に痛みが軽減すると、子供は呪文が効いたと思って不安がなくなり、安心する。すると、その心理的な作用でゲートはさらに閉じるという。

 皮膚を触ることの効果は、内分泌系の働きも関係する。痛みが脳に伝わると、中脳水道周囲灰白質という部分で痛みを制御する信号を出す。これが痛みが自然に軽くなる「下降抑制系」というメカニズムだが、その働きを強めるのが脳内ホルモンのオキシトシン。皮膚を触ることでもオキシトシンの分泌が促されるのだ。

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