クスリと正しく付き合う

抗がん剤の副作用で涙が止まらず…10~20%は回復しない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 2人に1人が、一度はがんにかかる時代です。自分はもちろん、身近な人がいつがんになってもおかしくありません。そうなったときに納得いく治療を受けるためにも、抗がん剤とその副作用について知っておくことは大切です。

 抗がん剤の副作用といえば、脱毛や吐き気を想像する人が多いでしょう。確かに、それらは多く見られる代表的な副作用といえます。しかし、それだけではありません。中には、「え? これって副作用なの?」とびっくりしてしまうような症状が表れるケースもあります。

 大腸がん、肺がん、膵がん、乳がんなどさまざまながんの治療に使われる「ティーエスワン(TS―1)」という飲み薬の抗がん剤があります。このTS―1には、使用者の2人に1人に起こる「流涙」という副作用があるのです。

 涙が出たり、涙目になるだけだろう……などと侮ってはいけません。流涙が起こっているのは、涙の排出路である涙道の障害や、目のレンズに当たる角膜に障害がある可能性があり、ひどい場合には目が見えづらくなって、日常生活に大きな支障が出るケースもあるのです。

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神崎浩孝

神崎浩孝

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

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