末期がんからの生還者たち

急性骨髄性白血病<3>「長男提供の骨髄液で助かると…」

高松珠代さん(提供写真)

 2日間、抗がん剤(エンドキサン、サイモグロブリン)を投与して、血液細胞を徹底的に叩いた。そのうえで「GVHD」(移植片対宿主病=臓器移植に伴う合併症)予防の薬を飲む。

■6月に「肺水腫」を発症

 入院から13日目の5月21日、移植の日を迎えた。前日から入院していた骨髄液提供者の長男は、入院棟から手術室に移動。腰椎から骨髄液を抜く準備に入っていた。目標は800ミリリットルである。

 無菌室で手術を待つ高松さんに、担当医師が「これが息子さんの骨髄液ですよ」と血液が入ったビニールパック3個を見せてくれた。息子から採取した骨髄液のあまりの多さに、高松さんは感極まり枕を濡らしてしまう。

 やがてCVポートにチューブ、骨髄液が入ったパックをつなぎ、移植がスタートした。長男の血液が、母の体内にゆっくりと流れていく。

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