医者も知らない医学の新常識

70代でも脳細胞は増える? 「可能性あり」と複数の結果が

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 脳細胞というのは、「大人になる前に一番増えて、その後は減る一方。増えることはない」という話をお聞きになったことがあると思います。

 ただ、最近の研究では、「脳の一部の神経細胞は、年を取っても増える可能性がある」という結果が複数得られています。つまり、以前の常識は変わってきているのです。

 増える可能性があるというのが海馬と呼ばれる場所です。海馬というのは記憶などに重要な役割を果たしている脳の一部で、アルツハイマー病では最初にその部分の神経細胞が障害されます。しかし、この海馬の細胞に関して、年齢を重ねても細胞の数が増えたり、機能が向上することが報告されているのです。

 面白いことにそうした現象が確認されているのは人間だけで、ネズミやサルの実験では、そうした結果は得られていません。

 今年の細胞研究の専門誌に発表された論文によると、脳の病気以外で死亡した人の脳の解剖を行った結果、海馬の大きさは70代でも10代と変化はなく、神経の再生のもとになる細胞も、高齢者で同じように見られることが確認されました。ただ、年齢とともに血液の流れなどは悪くなることもまた、同時に報告されています。従って、増えることは事実としても、高齢者で若い人と同じような働きをしているとは言えません。それは今後の研究を待ちたいところですが、年を取ると脳は衰えるばっかりと、悲観する必要はなさそうです。

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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