■高齢女性の数%が「変形性股関節症」に悩む
「股関節の痛みで最も多いのが、変形性股関節症です。特に高齢女性に多く、膝関節と比較すると少ないものの、60歳代の数%の女性が該当するといわれています。高齢者であれば、真っ先に疑うのは変形性股関節症です」(古閑副院長)
変形性股関節症は、最初は関節が変形しているだけだが、進行すると臼蓋(大腿骨頭がはまりこむ骨盤の部分)が変性して関節の隙間が狭くなり、臼蓋縁が硬くなる。さらに、関節の周囲に「骨棘」というトゲのような異常な骨組織ができる。やがて大腿骨頭も変形してくる。
「特発性大腿骨頭壊死症と異なり、変形性股関節症の進行は通常ゆっくりです。最初は立ち上がりや歩き始めに痛みを感じる。次第に爪切り、正座、和式トイレの使用などが困難になり、長時間の歩行や立ちっぱなしが難しくなる。これらの症状が加齢とともに目立つようになってきます」(古閑副院長)