気鋭の医師 注目の医療

骨格筋の新医学を切り開く 世界で初めて検出法を確立

藤井宣晴教授(C)日刊ゲンダイ

「マイオカインが特定できたら、次は作用や分泌機序を調べなくてはいけません。その研究には、遺伝子操作したショウジョウバエやマウスを使っています。マイオカインと他の臓器から分泌されるホルモンには同じ物質もあるのですが、それぞれ違う働きをしていると考えています」

 例えば、「アイリシン」というマイオカインは、普通の白色脂肪を、エネルギーを消費する「褐色脂肪」に変える作用があるとされる。「スパーク」は大腸がんを抑制。「IL―6」は筋肉の糖代謝を高めると考えられている。これらの働きが明確に証明されれば、将来、創薬や新運動療法に応用できるという。

「どんな運動をすれば、どんな種類のマイオカインが多く分泌されるかはまだ分かっていません。しかし、筋肉の質と量を保つことが大切であるとの研究報告が数多く出てきています。製薬会社も筋肉量を低下させない薬を開発中です」

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