悪夢の東京五輪 サマータイム導入で急上昇する健康リスク

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

■睡眠の専門家は「百害あって一利なし」

 つまり、サマータイムは「奈良判定」では完全にアウトということ。安倍首相は自民党内に検討の指示を出し、やる気マンマンだが、日本睡眠学会理事の神山潤氏は「まったくナンセンスです」と言い、こう警鐘を鳴らす。

「個人差はありますが、人の体内時計は新しい時間に慣れるまで数週間かかるといわれています。生活時間帯を急に1、2時間早めろと言われても、すぐには順応できないので、心身に急激なストレスがかかる。加えて、心配なのは睡眠障害。睡眠時間が短いと肥満につながる恐れもあり、ストレスがかかると心筋梗塞や生活習慣病の発症リスクが高まります。睡眠不足で脳の前頭前野の機能が低下すると、判断力が鈍るので、仕事の効率も落ちます。サマータイムは、健康を害する危険因子を増やす政策に他なりません」

 生体リズムの異常と睡眠障害を研究している本間研一北海道大名誉教授も、サマータイムは「百害あって一利なし」と言う。

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