がんとは何か

腫瘍マーカーの多くはがん細胞の死骸を調べている

写真はイメージ(C)PIXTA

 ならば、この腫瘍マーカーを使えばがんは簡単に早期発見できるのではないか? そう思う人もいるだろうが間違いだ。

「血液中からがん特有のタンパク質を発見するには、がんがある程度大きくなっていなければなりません。大きくなったがんは、腫瘍の中心まで血液が届かずにがん細胞が死んでしまいます。その死骸がバラバラになって血液中に入り、全身を巡ります。腫瘍マーカーの多くはこの現象を利用しているため、早期の微小がんを発見することはできないのです」

 そもそもがん細胞自体は正常細胞から変化したもの。腫瘍マーカーのなかには正常細胞にも存在するタンパク質もあり、それを目印にしてがんを見つけることは難しい。

 では、何のため腫瘍マーカーを調べるのか?

「治療効果や病状の進行をみるためです。例えば、ある患者さんに抗がん剤や放射線の治療を行ったとしましょう。その前後の腫瘍マーカーを調べてその変化をみれば、治療がどの程度効いたのか、再発リスクがどうかを推測することができます」

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