人生100年時代を支える注目医療

プロが集結し慢性痛に対応 慶大病院「痛み診療センター」

小杉志都子センター長(提供写真)

「慢性痛の患者さんでは、痛みによって日常生活の正しい動作が困難であるために、痛みをカバーするような動作(代償動作)が習慣化して、かえって痛みを増加させてしまっている人が多くみられます。その筋肉が硬くなったり、バランスが崩れていたりしている状態によって起きている痛みの悪循環を、運動療法によって筋肉の緊張をほぐすことで断ち切るのです」

 マインドフルネスは精神神経科医や臨床心理士が担当し、プログラムは週1回2時間、全8回で構成されている。内容は簡単な瞑想やヨガ、呼吸法などのエクササイズを行い、心身の安定を目指す。それを習得して日常的に行うことで、痛みのセルフコントロールに役立てるのだ。

「慢性痛では実際の体の痛み(1次的痛み)に不安や気分の落ち込みといったネガティブな感情が加わると、2次的痛みとして苦痛が生じることが知られています。認知行動療法であるマインドフルネスは、痛みに対する受け止め方や姿勢を変えることで、不安や気分の落ち込みを改善し、2次的痛みを取り除く効果があるとされています」

 ただし、運動療法プログラムやマインドフルネスは、患者自身が主体性を持って積極的に取り組まないと十分な効果は見込めないという。また、同センターは慢性痛のすべての痛みに対応できるわけではない。疾患によっては対象外になる場合もあるという。

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