安倍里葎子「私も介護仲間です」

娘の元気な姿を見せることも介護のひとつの形だと思う

安倍里葎子(C)日刊ゲンダイ

 母親の介護に疲れ、やり切れぬ鬱憤を晴らすために、酒の力を借りることもあった。母親を寝かせた後、うつろな目をしてテレビを見ながら、ひとりでつい深酒をしてしまう。

「でも、これじゃいけないと自分に言い聞かせ、お酒の量を減らしました。もう少し飲みたいと思ったときは、自宅を抜け出し、周囲を速足散歩するんです」

 今年8月には、歌手の橋幸夫さんたちとのディナーショーも控えており、年末までのスケジュールがほぼ埋まっている。年が明ければ、デビュー50周年。艶のあるハスキーボイスは健在だ。

「歌い続けることが、デビュー以来、どん底にいたときも私を温かく見守り、支えてくれた母親への恩返しです。勝手な言い分かもしれませんが、娘の元気な姿を母に見てもらうことも介護のひとつの形だと思うのです」 (おわり)

3 / 3 ページ

安倍里葎子

安倍里葎子

1948年、北海道札幌市生まれ。70年に「愛のきずな」でデビュー。83年、橋幸夫とのデュエット曲「今夜は離さない」が大ヒット。その後、桜木健一、松方弘樹らとデュエット曲を次々と発売し、デュエットの女王の異名を得る。

関連記事