性感染症最前線

「HTLV-1」国内感染者は108万人以上 夫婦間が多いとされる

母子感染は60~70%

 HTLV―1が体内に入り込むと、排除しようと免疫反応が起こり、HTLV―1に対する抗体が作られる。普通は抗体の働きでウイルスが排除されるが、Tリンパ球に侵入したHTLV―1は、さらに遺伝子の中まで入り込んでしまい、抗体では排除できない。そのため、HTLV―1は侵入したTリンパ球の遺伝子の中で生き続ける「持続感染」の状態になるのだ。

 しかし、HTLV―1に感染しても自覚症状はなく、感染者の約95%は生涯、病気を発症することのない「キャリア」となる。つまり、授乳や性交渉による感染は、キャリアが女性なら子供へ、男性なら妻にうつることが多いのだ。自分がキャリアかどうかは、抗体検査(血液検査)をすれば分かるという。

「1人の感染者が生涯にATLになる確率は約4~5%。それに個人差がありますが、ATLの潜伏期間は40年以上で、40歳以下ではほとんど発症しません。ですから、夫婦間の成人してからの感染でATLを発症したという報告はありません」

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