ドクターXが見分ける いい医者いい病院

治療に優劣はある?大病院は小病院を兼ねるのか

写真はイメージ

「大きい病院が優れているのではなく、病院の大きさが異なるのは、役割や機能が分かれているためです。今の医療は専門性が明確に分かれており、総合診療のように全身をくまなく診られる医者はほとんどいません。クリニックや診療所など、いわゆる地域のかかりつけ医にまずは診てもらい、必要があれば紹介状を書いてもらう。緊急の場合は設備の整った病院へ救急搬送してもらえます。ですので、『最初からもっと大きな病院で診てもらえば、こんなことにはならなかった』といったことはまず起こり得ません」

 ――むしろ、気の合う先生がいる、かかりつけ医の重要性が増しているようですね?

「適切な医療を提供するには、病状を把握するだけでなく、患者さんの職業や家族、生活習慣、環境といった“患者背景”が必要になります。地域のかかりつけ医は、長い関わりの中で患者さんのライフスタイルについての情報を多く持つことができる。例えば、高血圧だとしたら、薬を処方するだけでなく、生活習慣から減塩という治療の手がかりを見つけられるかもしれません。だからこそすぐに大きな病院に行くより、かかりつけ医を持つ方がよりきめ細やかな診察を受けることが可能だと思います」

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中山祐次郎

中山祐次郎

1980年生まれ。鹿児島大学医学部卒。都立駒込病院大腸外科医師(非常勤)として10年勤務。現在は福島県郡山市の総合南東北病院に外科医として籍を置き、手術の日々を送る。著書に「医者の本音」(SBクリエイティブ)、小説「泣くな研修医」(幻冬舎)などがある。

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