内視鏡医が見た12月の胃袋

野菜は豊富にとれるが…忘年会の「鍋」は胃に優しいのか

胃に優しいイメージの鍋ですが…(C)日刊ゲンダイ

 ご存じのように、胃もたれとは食べ過ぎや飲み過ぎによって胃の働きが弱まって、胃が重く感じる症状のことです。それは食べた物が長時間、胃の中に残っている場合に発生します。

 胃内滞留時間は食材によりある程度決まっていて、果物の胃内滞留時間は20~30分、野菜は1~2時間、ごはんやパンなどの炭水化物は2~4時間、魚などのタンパク質は4~6時間、脂質は7~8時間といわれ、脂っぽい食材は胃内滞留時間が長いとされています。

 皆さんの中には胃もたれして何がいけないのか? と思う人もいるかもしれません。

 問題は胸やけもすることです。胸やけは飲食後に感じる胸の灼熱感や痛みのことですが、その原因は胃の内容物が食道に逆流して、胃酸によって食道の粘膜に炎症を起こさせるからです。

 食道から胃に食べ物が入ると、ある消化管ホルモンが分泌され、胃の入り口である噴門を閉じて食べ物が食道へ逆流するのを防ぎます。そして、食べ物が胃を出て十二指腸に達すると今度は別の消化管ホルモンにより噴門が開くのです。

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