日本リウマチ財団が1991年に発表した調査によると、NSAIDsを3カ月以上服用している関節リウマチ患者のうち、15・5%に胃潰瘍が認められ、1・9%に十二指腸潰瘍が認められたと報告しています。通常の消化器がん検診で診断される胃潰瘍の頻度が1~2%ですから、かなり高い確率で発生するといえるでしょう。しかも、NSAIDs潰瘍のうち胃潰瘍は41・3%が何も症状や兆候を感じない、「無症候性」だったとしています。
この潰瘍が怖いのは、それによるダメージ自体はそれほど強くないにしても、日本人の多くはすでにピロリ菌に感染しているため、弱った胃粘膜にピロリ菌が取り付いて潰瘍が胃粘膜深くにまで及び、胃全体に広がることです。
日本人の胃がんの90%以上がピロリ菌が原因といわれるため、注意が必要です。
(国際医療福祉大学病院内科学・一石英一郎教授)
内視鏡医が見た12月の胃袋