人工肛門かそれ以外か…迷ったときに知っておきたいこと

生活の質(QOL)を下げないことも大事(写真はイメージ)/(C)日刊ゲンダイ

 というのも、大腸がんの手術では再発を防ぐために、がんの周囲にあるリンパ節も切除するからだ。直腸は15~20センチほどしかなく、直腸と肛門の間の歯状線を越えると、肛門縁まで2センチほどしかない。医師は患者の術後のQOL(生活の質)も重視するものの、人工肛門をどうしても避けられないことはあるのだ。

「大腸がんの手術の一番の目的は、がんを的確に取り除き治すこと。がんの場所が問題になるので、直腸がんでは早期で見つかっても人工肛門になる可能性はあります」

■装着を回避する方法もある

 肛門切除か、あるいは残せるか……。そのギリギリラインの場合、最近は、ISR(括約筋間直腸切除術)という手術が検討される場合もある。

 排便に関わるのが肛門括約筋だ。便が直腸にある程度たまると、それが脳に伝わり便意を催す。すると肛門の内側の内肛門括約筋が無意識に緩み、外側の外肛門括約筋が意識的に緩み、便が出る。

2 / 4 ページ

関連記事