緊急企画 新型コロナを正しく恐れる

回復率は約60% 重症者の最後の砦「ECMO」の仕組みと限界

重症の肺炎患者の治療に使われるECMO(エクモ)/(C)共同通信社

 気になる効果だが、首都圏の大学病院の関係者は「肺が柔軟性を失い回復が難しいだろうと考えられていた患者さんが、1カ月を超えるECMO治療で回復した」との感想をもらしている。ECMOを使った治療は日本集中治療医学会が4月12日時点で集計した数字がある。75人の患者(男性85%、女性15%)に実施され、ECMO治療が終了した36人中、回復した人は25人(69%)、死亡11人(31%)となっている。治療継続中の人は39人だ。

 現在、ECMOの世界の標準的な成績は離脱率69%、救命率60%といわれているから、ほぼ世界水準に達しているということになる。

■65~70歳以上は一般的に適応外

「ただし気を付けなければならないのは、これはECMOを適切に運用できる経験豊富な医師や、日常的に訓練された看護師、臨床工学技士などのスタッフがいてこそ実現できる数字だということです。現在の日本でこの数字を実現できる医療機関は全国で数カ所といわれています」

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