コロナ禍での熱中症対策

今夏は熱中症死者が増える可能性 新型コロナ超えの予想も

スペイン・グランカナリア島のビーチでマスクをつけ歩く女性(C)ロイター

 こう説明するのは、帝京大学医学部付属病院高度救命救急センター長で、同大医学部救急医学講座の三宅康史教授だ。環境省「熱中症予防声かけプロジェクト」の実行委員長も務める、熱中症の第一人者だ。

「熱中症で体調が悪くなる理由は主に2つ。まず1つは、体温が上がることによって、それを下げるために体は汗をかいて乾くときに気化熱で体が冷えるのですが、同時に体の表面の血管を拡張させて、放熱することで体が赤くなります。汗をかくことと、体の表面に血液がたまることで、脱水症状になり、大切な臓器に血液が行き渡らなくなる。これが理由の1つです。2つ目は、本来37度程度でいちばんよく働くように設定されている、脳、肝臓、腎臓などの臓器が、38度、39度、40度と高温になるにつれて、調子が悪くなっていく。この2つが熱中症の主な原因ですね」

 もちろん、夏場の体調不良がすべて熱中症だというわけではなく、病院に行ったらほかの病気が見つかったり、夏場のインフルエンザや、いまだったらコロナウイルスに感染しているということも考えられる。それを判別するためにも、家でひとりで耐えるのではなく、症状が出たら病院で受診することが大切だ。だが、もっとも大切なのは、暑い中で無理して外に出たりして、熱中症にならないことだろう。 (つづく)

2 / 2 ページ

関連記事