中国のキクガシラコウモリとコロナに感染しにくいアジア人

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 効果的なワクチンができるまでは、このウイルスから逃げ続けなければならないとなると、絶望的になるかも知れない。しかし、私は希望があると思っている。アジア人は欧米人に比べて、このウイルスに感染しにくい傾向がある。日本をはじめアジア諸国においては、欧米のような感染爆発は起こっていない。国内の疫学データによると、緊急事態宣言後の追加自粛による効果もはっきりしない。このことは、日本は欧米のロックダウンのような強い行動制限をしなくても、私が提唱する「100分の1作戦」だけで、このウイルスから逃れることができることを示唆している。

 新型コロナウイルス関連ウイルスは、キクガシラコウモリ属のコウモリから多数見つかっている。キクガシラコウモリの分布は、アジアから欧州、アフリカにかけてと広いが、新型コロナウイルス関連ウイルスは、中国に生息するキクガシラコウモリにのみ見つかっている。国内にもキクガシラコウモリは存在し、中国のものと遺伝子的に近い。国内のキクガシラコウモリのウイルス保有状況は調べられていないが、国内のユビナガコウモリでは、新型コロナウイルスと同じベータコロナウイルス属のウイルスも見つかっている。コウモリとコロナウイルスは古くから共存関係にあり、たびたび、人に感染したと思われる。

 アジアの人々は、コウモリからベータコロナウイルスの感染の洗礼を何度も受け、生き残った末裔であるのかも知れない。

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