血管・血液を知る

「頭に血が上る」とはどんな状態?血流と感情のメカニズム

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 例えば、いきなり後ろから背中をドンと押されて驚かされたときなど、心臓がドキドキしてしばらく止まらない経験があるでしょう。あのドキドキ感が、心臓に働くアドレナリンの作用なのです。ノルアドレナリンは、副腎髄質や神経末端から放出され、血管を縮めて血圧を上昇させる役割もあります。

 つまり、体にストレス(恐怖、怒り、不安、注意など)反応が起こると、中心的役割を果たすアドレナリンなどが血中に放出されます。すると、心拍数や血圧を上げ、体を攻撃態勢に変え、瞳孔も開き血糖値を上げる作用も出てきます。

 一方、体を守るため、エネルギーを節約し、さらにストレスによってタンパク質合成が狂い病気になるのを防止するために、遺伝子レベルからの合成命令(翻訳)を全体的に抑制します。

「お父さん、そんなに怒ると血圧が上がるよ」と言う子供のアドバイスも、まんざら見当違いではありません。

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

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