Dr.中川 がんサバイバーの知恵

大腸がんは「ステージ4」でも手術できれば生きられる

大腸がんで亡くなった轟二郎さん(2001年撮影)/(C)日刊ゲンダイ

 その点からみると、轟さんの闘病生活は非常に短く、かなり進行していて、転移していたことがうかがえます。

 大腸がんで転移しやすいのは、肝臓と肺です。大腸がんがほかのがんと異なるのは、原発の大腸がんの進行が食い止められていると、転移した肝臓や肺も手術が可能で、治癒の可能性が見込めるのです。

 大腸がんをまず手術した後、しばらくして肝臓や肺に再発。再発部位を改めて手術して完治したという患者さんを何人も目にしています。一般によく知られた方では、ジャーナリストの鳥越俊太郎さん(80)が有名でしょう。

 鳥越さんは65歳でステージ2の大腸がんが見つかると、手術で切除。その後、肺や肝臓への転移が判明し、69歳までに4回の手術を受けているといいます。再発後は遠隔転移があるのでステージ4ですが、転移した部位を手術で切除できさえすれば、元気に生活できることのよい例といえるでしょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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