役に立つオモシロ医学論文

米誌で研究論文 ヒトはやせるとどれだけ長生きできるのか?

写真はイメージ

 平均で10・7年にわたる追跡調査の結果、肥満が持続していた人(BMI30以上)と比較して、肥満が改善した人(BMI25以上30未満)では、死亡のリスクが54%、統計的にも有意に減少しました。

 この研究では、早死にしてしまう原因の12・4%が成人初期から中年期の肥満によるものであると見積もられています。ただ、体重に関する情報は研究参加者の自己申告に基づくものであり、厳密な解析ができていたかどうかについては議論の余地がありそうです。

 また、日本人でBMIが30を超えるような人は少なく、この結果を広く一般化することも難しいように思います。とはいえ、肥満の改善が健康の増進に重要であることを示唆する貴重なデータであることは間違いありません。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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