HPVワクチンは、2009年に初承認。10年に公費助成がスタート、13年4月に定期接種化されました。その2カ月後、副反応問題を受けて厚労省は積極的接種勧奨の中止を自治体に要請しています。
定期接種は小6から高1の女性が対象で、接種の下限の小6の生まれ年で見た興味深い研究結果があります。日本にHPVワクチンがなかった93年生まれの子宮頚がん発症リスクを1とすると、ワクチンの普及でリスクが低下。公費助成の開始と重なる98年生まれは0・56に下がっています。4割超のリスクが抑えられるという意味です。
その後、副反応問題の拡大でワクチン接種が停滞したことから、99年生まれは0・6、00年には0・98に上昇。02年生まれ以降は1に逆戻りしています。
HPVには、100種類以上の型があり、定期接種スタート当時のワクチンは7割をカバーしていました。接種率の7割とカバー率の7割を掛け合わせると、49%とほぼ半分の子宮頚がんを予防できる計算。98年生まれは、この理論値に近い状況でした。最新のワクチンは9割のカバー率ですから、仮に7割の接種率なら6割の女性が助けられることになります。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵