免疫の正しい知識<下>免疫力を高めるには腸内細菌を整える

免疫力を高めるには「腸内環境」が重要

 われわれの体内には1000種類以上、100兆個以上の腸内細菌がいるといわれ、これら全体を腸内細菌叢と呼んでいる。ビフィズス菌や乳酸菌などの「善玉菌」、大腸菌などの「悪玉菌」、どちらにも属さない「日和見菌」の3つのグループがあり、まずはその種類が多いほど良い状態とされる。さらに、日和見菌は善玉菌が優位になると善玉のように働き、悪玉菌が増えると悪玉のように働く。

「腸内細菌のバランスは『善玉:日和見:悪玉』の比率が『2~3:6~7:1』になっている状態が良いとされ、バランスが良好な腸内細菌は健康の根本を支えるさまざまな役割を果たしています。その中に、病原体の侵入を防いだり、免疫を活性化させて感染を防ぐ働き、逆に行き過ぎた免疫を抑え、アレルギー性疾患や自己免疫疾患を防ぐ働きがあるのです」

 われわれの「腸」には、体内では最も多くの免疫細胞が集まっている。腸内に病原体が入ってくると、小腸の下部にあるパイエル板という免疫組織にあるM細胞が病原体を取り込み、次にその直下にある樹状細胞が病原体を分解してヘルパーT細胞に伝える。ヘルパーT細胞が病原体と判断した場合は活性化して、B細胞に抗体を作るように指令を出す。B細胞によって産生された抗体は、体内や腸管の粘液に分泌され、感染や発症を抑える働きをする。

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