新型コロナでわかった不都合な真実

感染対策のベースになる研究論文はどこまで信じていいのか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 新型コロナウイルス感染症で明らかになったことは、感染症対策は一流の医学・科学雑誌に掲載される研究論文によって左右されるということだ。マスクの着用やソーシャルディスタンスはもちろん、治療薬の選択やワクチン開発にしてもその根拠となるのは医学論文だ。そこで問題になるのはこの一流医学雑誌に掲載された医学論文が果たして信頼に足りるのか、という点だ。長浜バイオ大学医療情報学の永田宏教授が言う。

「一流の医学雑誌に掲載されたからといってそれが真実とは限りません。あくまでもある分野について注目される論文について投稿され、それを、その分野で一流とされる複数の学者が査読をし、掲載に値する研究論文として認められれば掲載されているに過ぎず、あとから否定されるケースも少なくありません。それが事実として認められるには、掲載された論文の内容についてその後、同様の研究(追試)がなされ、同様の結果が得られるなど、多くの検証が行われなければなりません。分野にもよりますが、私は追試が行われ、同じ内容の結果が得られた研究論文が2ケタ近く出てこないと真実であるとは考えません」

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