新型コロナでわかった不都合な真実

感染対策のベースになる研究論文はどこまで信じていいのか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 論文の基になったデータは米国の医療データ分析会社が提供したものだったが、その後、この論文にデータを提供したとされるオーストラリアの5つの主要病院が「データは提供していない」と証言。ほかにデータのおかしな点が次々見つかり、この論文は取り消された。英国の報道機関が調べたところ、データを提供したデータ解析会社の本社は民家のようなところで従業員10人ほど。SF作家やアダルト雑誌モデルなどが社員として登録されていて、とても世界中の医療機関がデータを提供しているようには見えなかったらしい。

 要するに、この事件はデータを捏造したやからに他人のふんどしで相撲を取ろうとした専門家が騙されたという構図だ。

 結局、ヒドロキシクロロキンは他の論文でも有効性が否定されていたから、政策変更も問題なく実質的な被害はないとされ、この事件の波紋はうやむやにされたが、新型コロナに関する医学常識や政策には常に危険がはらんでいることは私たちも知っておくべきだ。

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