役に立つオモシロ医学論文

入院増が懸念されていたが…コロナ禍で「喘息」の悪化が減少

懸念されていたが、以外にも減少?!

 新型コロナウイルスの感染拡大により、喘息の病状が悪化し、入院件数の増加が懸念されていましたが、意外にも件数は大きく減少していました。

 つまり、コロナ禍において、喘息を患う人の多くが病状を良好に維持できていた可能性が示されているのです。この原因として、論文著者らは適切な感染対策などによる健康状態への配慮、喘息治療薬をきちんと使用していた人の増加、外出が減ったことによる大気汚染物質へ接触する機会の減少などを挙げています。

 喘息の病状を良好に保つうえで、人の行動や環境への配慮が重要であることを示唆する、貴重な報告といえるでしょう。

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青島周一

青島周一

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

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