最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

医師は病気を治せない。良くなるお手伝いをしているだけ

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 それは、人口が爆発する危惧から、限られた食糧を分かち合うためには生き物が体を小さくしなければならないという、神の警告であるということを、です。医者は病気を治して命を助けた気になっているけれど、それが人口増加、やがては食料危機を招き、何億人も飢えて死んでいく。その不条理な物語は、医療は治療ではないことを物語っています。

 また現在放映中のNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」には、在宅医療を行う田舎の診療所が登場します。

 ここで働く若い医師は、自分のキャリアとして在宅医療に進むかどうかの岐路を迎える中で、がん患者さんを「治せない」事実を目の当たりにし、「治す」医療ばかりをやってきた不遜な今までの自分自身と向き合っていきます。

 そのがん患者さんと話す場面で、医師は患者さんに語りかけます。

「日々考えることが変わるのは当たり前です。迷うことがあって当然です。迷う時間を確保するためにできる治療があるならやってみませんか」

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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