最期は自宅で迎えたい 知っておきたいこと

マニュアルがないからこそ、患者に合った策を共に学んでいける

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 入院から在宅医療に切り替え、患者さんが自宅に戻られたその日からご家族が一番戸惑うことといえば、「様子がおかしいと思った時、どの程度なら医師に電話をしていいのか。どのタイミングで連絡すればいいのか」ということ。私たちはいつも、「不安に感じたら、症状の程度に関係なく、いつでも電話してください」と患者さんやご家族に伝えています。

 よくあるケースが「退院早々、食欲が落ちてしんどそう」「退院翌日に熱が上がった」「咳がひどくなった」というもの。ご家族にしてみれば、なにか重大な病変なのではないかと心配されることはよく理解できます。日頃、気丈に振る舞っていた奥さまも、退院してきたばかりの夫が、しんどそうにしている姿を見れば慌ててしまうこともあるでしょう。

 そんな時、私たちはご家族の疑問に答えながら、症状を詳細に聞き出します。日頃渡されている薬を飲むよう指示をしたり、寝床の状態を確認し、「熱がこもっているから布団を少し薄くしてください」などの提案をすることもあります。

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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