新型コロナ治療の新たな選択肢「カクテル療法」の期待と課題

インド株にも効果が望める(C)ロイター

■大量生産や精製が難しく高額に

 抗体製剤は生体が作る物質を使うバイオ医薬品=生物学的製剤と呼ばれ、従来の化学的に合成された医薬品とは異なる。そのため大量生産が難しく、薬価が高額で1本10万円を超えるものも珍しくない。

「今回のカシリビマブとイムデビマブは『モノクローナル抗体』と呼ばれる人工的に作られた抗体です。まず、狙った効果を発揮する単一の抗体を作る遺伝子を、細胞に導入します。次にそれらの細胞の中から目的の抗体をきちんと作り出す優秀な細胞を探し出し、その細胞のクローンを大量に作り、培養した細胞に抗体を作ります。今回は2種類の混合ですから、そうした過程もそれぞれ必要になるのです。細胞は24時間に1回しか分裂しないので、クローンを培養するのもそれだけ手間がかかります。化学的に物質を合成するだけで作れる従来の医薬品に比べると、大量生産が難しく、精製も難しいため価格もはね上がるのです」

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