医者も知らない医学の新常識

人はなぜ夜に甘いものを食べてしまうのか 脳科学専門誌で報告

夜はついつい…(C)PIXTA

 夜遅く、あるいは寝る前に甘い物やカロリーの高いものを食べると、次の日の朝は胃もたれがしますし、夜はカロリーを消費しないので、内臓脂肪の増加や肥満の原因になります。そんなことは分かっているが、それでもつい食べてしまう……という人は多いのではないでしょうか? これはただ我慢が足りないだけでしょうか? いえ、実は科学的な理由がありそうなのです。

 2016年の脳科学の専門誌に興味深い研究結果が報告されています。

 15人の健康な女性に、昼と夜とで時間を変えて、甘いお菓子などの写真と野菜などの写真を見せ、脳の反応を機能的MRIという最新の検査でチェックします。すると、時間にかかわらず野菜などより甘いお菓子の方を好むような反応が脳で記録されました。

 昼と比べて夜では、脳の一部の反応が少し弱くなっていて、食べた時の満足度が低いことと関連していると思われました。食欲について質問をすると、お腹の減り方は昼でも夜でも違いはありませんでしたが、食べたいと思う気持ちは明らかに夜の方が強くなっていました。

 つまり、食欲をコントロールする働きが夜には弱くなっていて、甘いお菓子などをよりおいしいと思う本能が、刺激されやすくなっているようなのです。

 夜に甘い物が食べたくなるのは、誰もが持っている脳の働きのせいであるようです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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