コロナ収束への道<2>「ワクチン調達は民間の力を借りるべき」

イスラエルではブースター接種が始まっている(C)ロイター

 しかしワクチンの供給量が安定し、保存期間が緩和され、接種対象者が広がってからも新システムでの供給は継続された。

 しかも、このシステムを運用するために新たに導入された「V-SYS」(ワクチン接種円滑化システム)はコンピューター端末が扱いづらいとの現場の声もあった。

■より良いワクチン体制にはスピードと効率性が必要

 市場原理がまったく働かないこうした配布法の難しさとワクチンビジネスの怖さにも笹倉院長は触れる。

「最初のワクチン調達の仕方にも課題はあったと思う。COVAX(新型コロナウイルスワクチンを共同購入し途上国などに分配する国際的な枠組み)を活用したファイザーとの契約では、本来日本に来るはずの、ファイザーの倉庫に備蓄されたワクチンはイスラエルなど他国に流れてしまい、4月に当時の菅首相がファイザーと面会する事態になりました。私は日本ワクチン学会にも所属していますが、ワクチンを取り巻く環境は非常にビジネス色が強く、そんな生き馬の目を抜くような世界では、しっかりと契約にもとづく交渉が必要です」

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