心臓手術の名医が語るコロナ禍の治療最前線

いざというときに備え心臓手術を取り巻く状況を知っておきたい

写真はイメージ(C)PIXTA

 心臓外科医の数が世界的に減少しているという。技術革新により心臓外科医に頼らなくてもできる治療法が開発されているからだ。その一方で、心臓に障害を持つ高齢者が増え、複雑な心臓外科手術を必要とするケースもいまなお多いことから、経験豊富な腕のいい心臓外科医の存在価値は高まっている。だからこそ、心臓に問題が起きやすい中高年は心臓手術に強い病院やその状況といった情報について日頃から敏感になった方がいい。心臓病手術をメーンとするニューハートワタナベ国際病院の渡辺剛総長に聞いた。

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「たしかに心臓病の代表的疾患である、心臓弁膜症手術の多くがいまは内科的なカテーテル置換術に変わり、心臓外科医の出番が減っているのは事実です。しかし、心臓の疾患の中には外科手術でしか治せないものも多い。また、複数の心臓疾患をひとつの手術で同時に治療しなければならないケースもあります。心臓外科医はその意味で絶対に必要な存在です。心臓手術をメーンとした当院は、さまざまな心臓病の治療が『ワンストップ』ででき、かつ『ラストホープ』としての存在価値を高めていくことになると思います」

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渡辺剛

渡辺剛

1958年東京生まれ、ニューハート・ワタナベ国際病院総長。日本ロボット外科学会理事長、心臓血管外科医、ロボット外科医、心臓血管外科学者、心臓血管外科専門医、日本胸部外科学会指導医など。1984年金沢大学医学部卒業、ドイツ・ハノーファー医科大学心臓血管外科留学中に32歳で日本人最年少の心臓移植手術を執刀。1993年日本で始めて人工心肺を用いないOff-pump CABG(OPCAB)に成功。2000年に41歳で金沢大学外科学第一講座教授、2005年日本人として初めてのロボット心臓手術に成功、東京医科大学心臓外科 教授(兼任)、2011年国際医療福祉大学客員教授、2013年帝京大学客員教授。

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