心臓手術の名医が語るコロナ禍の治療最前線

ロボット心臓手術は何が凄い? 体だけでなくフトコロにも優しい

ニューハート・ワタナベ国際病院総長の渡辺剛氏(提供写真)

 かつては命がけだった心臓病の手術も医療や手術技術の進展で格段に安全になってきた。しかし、せっかく技術的には助けられるようになったにもかかわらず患者に体力がなかったり、手術跡を気にして手術をためらい、手術のタイミングを逃してしまうケースも少なくない。そこでいま注目されているのが、胸骨を極力切らずに行う低侵襲心臓手術を進化させたロボット心臓手術だ。2019年のロボット心臓手術執刀数が世界一のニューハート・ワタナベ国際病院の渡辺剛総長に話を聞いた。

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「私たちのロボット手術は、骨を切ることなく数カ所の小さな穴だけですべての操作を行う完全内視鏡手術=キーホール(鍵穴)手術です。術中の出血が少なく、術後の痛みも軽く、また美容的にも優れた手術のため、早期の社会復帰が可能です。当院では、僧帽弁閉鎖不全症についてはほぼすべての患者様にロボット手術を行っております」

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渡辺剛

渡辺剛

1958年東京生まれ、ニューハート・ワタナベ国際病院総長。日本ロボット外科学会理事長、心臓血管外科医、ロボット外科医、心臓血管外科学者、心臓血管外科専門医、日本胸部外科学会指導医など。1984年金沢大学医学部卒業、ドイツ・ハノーファー医科大学心臓血管外科留学中に32歳で日本人最年少の心臓移植手術を執刀。1993年日本で始めて人工心肺を用いないOff-pump CABG(OPCAB)に成功。2000年に41歳で金沢大学外科学第一講座教授、2005年日本人として初めてのロボット心臓手術に成功、東京医科大学心臓外科 教授(兼任)、2011年国際医療福祉大学客員教授、2013年帝京大学客員教授。

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