医者も知らない医学の新常識

骨折予防にはカルシウムだけじゃダメ タンパク質も補充する

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 高齢者が寝たきりになる大きな原因は骨折です。骨粗しょう症により骨がもろくなると、ちょっとつまずいて足を踏ん張っただけで、足の付け根の骨が折れてしまったり、尻もちをついたり、激しく咳き込んだだけで背骨が潰れてしまったりするのです。骨の強さは若い時期に決まってしまうため、不摂生な生活をしている中年層も、その危険性はすでにあると考えた方がよいのです。

 それでは、こうした転倒や骨折を防ぐには、どうすればいいのでしょうか? カルシウムのサプリメントがよいという考え方がありますが、カルシウムだけでは予防にならない、という研究結果もあります。今年のブリティッシュ・メディカル・ジャーナルという一流の医学誌に、カルシウムとタンパク質を併せて補充することにより、転倒や骨折を予防出来るという研究結果が報告されています。

 施設に入所している高齢者に、通常の食事に加えて牛乳やチーズなどの乳製品を補充し、カルシウムとタンパク質を強化して2年間観察したところ、補充しない場合と比較して、骨折の危険性は33%低下し、寝たきりの原因となる足の付け根の骨折に至っては46%も低下していたのです。

 タンパク質の補充で筋肉が強化され、それが相乗効果で骨折を防いでいたようです。骨折予防にはカルシウムとタンパク質をバランス良く取ることが重要であるのかもしれません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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