みんなの眼科教室 教えて清澤先生

「失明する病気」にずっと本人が気が付かない理由は?

コンタクトレンズを作るため来院して緑内障とわかるケースも…(C)PIXTA

「網膜色素変性症」は、遺伝も関係して網膜に色素沈着を伴う萎縮が起き、視野の中心から30度あたりに輪状の暗点を生じさせる疾患です。進行すれば中心視野だけを残す視野となりますが、視力は最後まで残ります。この疾患の大事な特徴は、薄暗いところで特に見えないことです。家族にこの病気の人がいる場合、眼科を受診しておくことをお勧めします。

「加齢黄斑変性症」と強度近視に伴う「網脈絡膜萎縮症」は、ともに網膜の中心にある黄斑部に出血を来たして中心暗点を生じる疾患です。網膜の深い部分に新生血管と呼ばれる脆く切れやすい血管ができて出血を繰り返し、黄斑萎縮で視力低下を来たします。片目で見た像の中心が歪んで見えたら、すぐに受診してください。最近は眼球へ注射する新しい薬が使われています。

 失明することのある眼疾患でも、その兆しはわずかなもの。見え方に異変を感じたら、早めの眼科受診をお勧めします。

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清澤源弘

清澤源弘

1953年、長野県生まれ。東北大学医学部卒、同大学院修了。86年、仏原子力庁、翌年に米ペンシルベニア大学並びにウイリス眼科病院に留学。92年、東京医科歯科大眼科助教授。2005-2021年清澤眼科院長。2021年11月自由が丘清澤眼科を新たに開院。日本眼科学会専門医、日本眼科医会学術部委員、日本神経眼科学会名誉会員など。

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