臭いが消える一因は鼻の中の「気流」にあり 国際誌に論文掲載

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 浅間院長は、“その原因は鼻の中の空気の流れに関係するのではないか”との仮定を立て、鼻の手術をして嗅覚が良くなった患者31人の、手術前の鼻の中の空気の流れのデータを解析した。

 ところが、予想に反して何の規則性も得られなかった。その原因を探っているうちに、鼻の悪い人は、口呼吸で鼻の空気の流れの悪さを補っていることに思い当たったという。

「そこで、別の95人の臭いが正常な患者さんで、安静な部屋でリラックスした状態での呼吸を調べたところ、鼻の入り口と上咽頭の圧力差(鼻腔抵抗)が10パスカル以上ある人は、口呼吸することがわかったのです。そこで、改めて気導性嗅覚障害で手術した31人の、手術前のデータから鼻の中の圧力差が10パスカルより下の人だけのデータを取り出し分析したところ、予想通り、臭いを感じる領域で空気の通過量が少なく、流れも緩やかだったことがわかったのです。これでは、臭いのセンサーである嗅神経が分布している嗅粘膜が位置する、鼻の奥の嗅裂には届きにくい。さらに、気導性嗅覚障害の人は鼻の中の構造に特徴があることもわかりました。鼻甲介(上・中・下と3つあり、エアコンの吹き出し口の羽根と同じような形の薄い板状の出っ張りで息の流れや量を調節)と呼ばれる部分が張り出していたり、嗅裂の形がいびつだったりしていたのです」

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