臭いが消える一因は鼻の中の「気流」にあり 国際誌に論文掲載

写真はイメージ

 もともと鼻の気流は大変複雑で、長い間、未知の世界だったという。それを解明するため市販の流体気流ソフトと汎用パソコンを使って鼻の気流を解析しようとした事例もあったが、精度が悪く信頼性が低かったという。

「そこで、私はこれを解明して鼻の手術に応用しようと決意。CT画像からコンピューター上に立体モデルを作り、鼻の中の空気の流れを東大宇宙航空研(JAXAの前身)と関わりの深い『計算流体力学研究所』に計算してもらうため、資金を投入してソフトを共同開発したのです。その後、それを実用化するための科学技術計算用コンピューターも院内に設置しました」

 今回の研究は、今後どう発展するのか?

「私は、手術前に、どこにどうメスを入れると手術後に鼻の中の空気の流れがどう変わるか、流体力学に基づいたシミュレーションをすることが望ましいと考えています。そのことに力を注ぎつつ、流体力学に基づいた睡眠時無呼吸症候群の治療や認知症の予防などの研究を続けるつもりです」

 02年にノーベル化学賞を受賞した田中耕一氏は「異分野融合の場を生かせば、天才でなくてもイノベーションや独創を生み出すことができる」という趣旨の話をしている。流体力学を医学に持ち込んだ浅間院長の今後に期待したい。

4 / 4 ページ

関連記事