早期乳がんに画期的な新薬が登場 再発リスクを有意に下げる

乳がんは5年以降も再発リスクが(写真はイメージ)

 最も多いのがホルモン受容体陽性の乳がん。女性ホルモンに反応して増殖する乳がんで、全体の約70%を占める。このサブタイプには術後、ホルモン療法が行われる。

「しかし、ほかのがんと違って、ホルモン受容体陽性の乳がんは5年を過ぎても、10年、15年と過ぎても再発のリスクがあり、直線的にリスクが高くなっていきます。一方、ホルモン受容体陰性では術後2年までがピークで、それ以降は徐々に減り、5年を過ぎると再発リスクは、ほぼありません」(原文堅医師=以下同)

 ホルモン受容体陽性の中でも特に、リンパ節転移が多い(4個以上)、リンパ節転移が1~3個の場合はKi67(がん細胞の増殖スピード)の数値が高い、がんが大きい、がんの“顔つき”が悪い(病理学的悪性度が高い)などに該当すると、再発リスクがより高くなる。

「こういう患者さんにはホルモン療法だけでは不十分。再発リスクに応じて抗がん剤や放射線を組み合わせますが、それでも再発する人がいます。中でもリンパ節転移が多い患者さんは再発リスクをなかなか下げられなかった。しかし今回承認された『ベージニオ』(一般名アベマシクリブ)で、有意差を持って再発リスクを下げられることが臨床試験で証明されました」

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