新型コロナウイルスへの「新たなる武器」が! 日本人医学者が英医学誌に発表

ソルボンヌ大学医学部の根来秀行教授(提供写真)

■国内外で治験も始まっている

 5-ALAとSFCは日本と一部の中東諸国で栄養補助食品として承認されている。そこで、慢性閉塞性肺疾患の喫煙者を含む新型コロナ症状の患者6人に投与したところ、標準的な治療を受けた新型コロナ患者よりも回復時間が早かったとの報告もある。ここで、G4構造を制御することが新型コロナウイルスの増殖を抑える新たなメカニズムとしてのポイントになるという。

「DNA構造は、通常は二重らせん構造でゲノム情報の正確な伝播に寄与しています。一方、K+などの1価イオンが存在する生理的条件下で、グアニンが4つ並んだG-カルテットという平面構造を取り、それらが重層化し、『グアニン4重鎖(G4)』と呼ばれる安定的な高次構造を形成することがあります。これらは染色体の末端にあって細胞分裂のたびに短くなり、『命の回数券』と呼ばれるテロメア領域に多く存在しています。実はこのG4はRNAにもありDNAよりも安定していて、RNAG4は新型コロナウイルスにも存在し、増殖に関係することがわかっています。5-ALAとSFCが細胞内で代謝されたときにできるポルフィリンはG4と結合しやすく、新型コロナウイルスのG4に結合すれば感染後の増殖を防ぐ可能性があります」

3 / 4 ページ

関連記事