「これら3種類の経口治療薬は、いずれも体内に侵入したウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬です。メルク社のラゲブリオは『RNAポリメラーゼ阻害薬』といわれるタイプで、ウイルスが増殖する際に必要な酵素の働きを阻害して遺伝情報のコピーミスを引き起こし、ウイルスの増殖を抑制します。ファイザー社のパキロビッドは『プロテアーゼ阻害薬』というタイプで、新型コロナウイルスのRNAを合成する3CLプロテアーゼと呼ばれる酵素の活性を阻害して増殖を阻止します。塩野義の経口治療薬は、パキロビッドと同じ機序でウイルスの増殖を抑えます」(岡山大学病院薬剤部の神崎浩孝氏)
■投与でウイルス量が激減
では、塩野義の経口治療薬はどれくらい効果が期待できるのか。
ラゲブリオとパキロビッドは、重症化リスクがある軽症~中等症の感染者の入院・死亡を減少させる効果が認められていて、臨床試験では前者が約30%、後者は約89%減だった。