医者も知らない医学の新常識

CT肺がん検診の有効性が米国で確認 英医学誌が研究結果を報告

写真はイメージ

 肺がんはたばことの関連が強いがんです。最近は抗がん剤治療などの進歩により、進行した肺がんでも予後は改善していますが、早期に見つかった方が良いことは間違いがありません。

 早期がんを見つけるために行われているのが肺がん検診です。肺がん検診では長く、レントゲン検査が行われてきましたが、場所によってはレントゲンに映らないがんもあり、またある程度病変が大きくならないと検出が難しい、という欠点があります。

 そこで最近、欧米で積極的に行われているのがCTによる肺がん検診です。これはヘビースモーカーや長期の喫煙歴のあった人に限って、放射線量の少ないCT検査を施行して、早期のがんを発見しよう、というものです。その結果は、臨床研究では早期のがんの発見率が増え、肺がんによる死亡も減ったと報告されています。

 しかし、それはあくまで研究での話です。実際に行われた住民検診で、どれだけの効果があるのでしょうか? 今年のブリティッシュ・メディカル・ジャーナルという一流の医学誌に、アメリカで行われたCT肺がん検診の有効性が報告されています。

 それによると、検診の継続によって見つかる肺がんは進行したものより早期のものが増え、肺がんの余命も長くなっていたことが確認されました。日本ではまだ一般的とはいえないCT検診ですが、今後は肺がん検診の主流となっていくのかもしれません。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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