小学校に上がるまでの栄養状態でその後の学力や知力が決まる 医療情報学教授が解説

幼少時の食事は大事

 さまざまな理由が考えられているが、もっとも妥当とされているのは、幼少期の食事や栄養との関係だろう。

 脳がうまく発達するためには、良質のタンパク質やビタミン類、ミネラル類が欠かせない。私の知人の栄養学者は、小学校に上がるまでの栄養状態で、その後の学力や知力が決まってしまうと言っている。もちろん、脳に良い食事は体にも良いはずだから、身長も伸びやすいはずだ。結果として、身長とIQが相関しているのだろう。

 ところが子供に良質の食事を与えるためには、親の経済力に加えて、教育レベルや情報リテラシーの高さが必要になる。これが、世間でよく言われる「親ガチャ」だ。親が高学歴・高収入なら、子供は脳も体もよく発達し、親と同じか、それ以上の社会経済的地位を得る可能性が高い。

 身長が下がり続けている日本は、給料が上がらず、円安の追い打ちもあって、実質的にはかなりの収入減である。また諸外国と比べて、日本の大学生は勉強しない。だから10年、20年後の日本の親ガチャは、ほとんど「外れ」ばかりになっているかもしれない。

(永田宏・長浜バイオ大学メディカルバイオサイエンス学科教授)

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