医者も知らない医学の新常識

胆のうの病気と薬との関係 糖尿病薬で胆のう炎リスクが40%上昇

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 胆のうというのは、脂肪を消化する胆汁をためておく袋のような臓器です。食事をすると胆のうはキュッと縮んで、胆汁が十二指腸に排出され、食事と混ざり合って脂肪を消化します。胆汁は非常に濃厚なので、固まりやすい性質を持っていて、固まって石のようになったものが胆石です。石が出来て胆汁の流れが悪くなると、そこで細菌が増殖して炎症を起こします。それが胆のう炎です。

 胆石症や胆のう炎になると、食後に激しい痛みが起こり、寒けや高熱が出ることもあります。肥満や脂肪の取り過ぎは、こうした胆のうの病気の原因として有名ですが、忘れてならないのは薬の影響です。じつは多くの薬が胆のうの病気の原因になります。

 抗菌剤は胆のう炎の治療薬ですが、「セフェム系」と呼ばれる抗菌剤のうちの1種類で、一時的な胆石症が起こることが報告されています。また、今年のブリティッシュ・メディカル・ジャーナルという一流の医学誌に、糖尿病の治療薬と胆のう炎との関係が報告されて注目を集めています。これはDPP4阻害剤という広く使用されている糖尿病の飲み薬で、これまでのデータを分析すると、40%以上も胆のう炎のリスクを高めると報告されています。

 実際には多くの薬が胆のうの働きを低下させる可能性があるので、薬を飲み始めてからのお腹の痛みは、胆のうの病気を、一度は疑う必要がありそうです。

石原藤樹

石原藤樹

信州大学医学部医学会大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

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