「死ねない時代」における医療との向き合い方 3つの心構え

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

「長らく人間の平均寿命の延びを抑えてきたのは感染症で、医学の歴史は感染症との闘いの歴史でした。結核や肺炎の治療法がなかった18世紀ごろは1歳未満の乳幼児の死亡率が高く、平均寿命は35歳程度だったといわれています。それがペニシリンなど抗生物質の発見で劇的に死者が減りました。また、梅毒、ペスト、コレラ、エイズなどさまざまな感染症を制御することに成功しています。さらに20世紀に入り医療は、がん、心疾患、脳疾患にも挑み、画期的な成果を上げています」

 実際、かつては不治の病とされた各種がんも、集学的治療が功を奏し、ここ30年間で5年生存率は改善。その脅威は峠を越している。

 この間、CT(コンピューター断層撮影)やMRI(磁気共鳴画像法)などの検査機器、AIによる画像診断、手術支援ロボット、人工臓器などが登場した。創薬、食事や運動、リハビリなどの知見の集積と技術の向上に加え、救急体制の整備なども進んだ。国民一人一人の健康への意識も変わり、飲酒や喫煙などの習慣を改めて、運動や減塩に励む人が増えた。その結果、各人の体力が改善し健康長寿社会が実現している。しかも、「老化は治療できる病」となり、超長寿に向け医療は進化している。

2 / 5 ページ

関連記事